私たちは害獣を捕獲することで、地域住民の生命、財産を守ることを業務と致しております。
生産者様が手塩にかけて育てた農作物を、収穫間近で有害鳥獣にやられてしまうというお話しはよくお聞きします。
害獣から農作物を守るためにはどうしたらいいのでしょうか?
まずは、一般的に言われている方法をご紹介します。
1. 忌避剤の利用
- 特徴: 害獣が嫌がるにおいを出す薬剤で、種類によっては特定の動物に効果的です。
- 種類: スプレータイプ、粒状タイプなどがあり、設置場所や害獣の種類に合わせて選びます。
- 注意点: 植物や家畜に影響を与えないものを選びましょう。
2. 電気柵の設置
- 特徴: 電気ショックで害獣を近づけさせない物理的な防護柵です。
- 効果: 広範囲なエリアを保護でき、効果が高いですが、初期費用と設置の手間がかかります。
- 注意点: 電気柵の種類や設置方法によって効果が異なるため、専門家への相談も検討しましょう。
3. 音響機器の利用
- 特徴: 超音波や動物の天敵の鳴き声などを発して、害獣を追い払います。
- 種類: ソーラーパネルで駆動するタイプなど、設置場所を選ばないものもあります。
- 注意点: 慣れると効果が薄れる場合があるため、定期的に音の種類や場所を変えたり、他の方法と組み合わせることも有効です。
4. 防護ネットの設置
- 特徴: 農作物を物理的に保護するネットです。
- 種類: 目合いや素材が異なるため、害獣の種類や作物に合わせて選びます。
- 注意点: 強風などで破損しやすいため、定期的な点検が必要です。
5. 忌避植物の栽培
- 特徴: 害獣が嫌う植物を栽培することで、忌避効果を狙います。
- 種類: ニンニク、ネギ、ラベンダーなど、様々な植物が挙げられます。
- 注意点: 効果は限定的で、すべての害獣に有効とは限りません。
6. 環境整備
- 特徴: 害獣が住み着きにくい環境を作ることで、被害を減らします。
- 具体例: 草刈り、落ち葉の掃除、水たまりをなくすなど
- 注意点: 定期的な管理が必要です。
害獣の種類や被害状況によって、最適な対策は異なります。
- 害獣の種類: イノシシ、シカ、サル、カラス、ヒヨドリなど、様々な動物が農業被害の原因となります。
- 被害状況: 作物への食害、施設の破壊など、被害の種類によって対策も変わってきます。
- 地域の環境: 山林との距離、水源の有無など、地域の環境によって効果的な対策が異なります。
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私どもプロ目線からのアドバイスは以下の通りです。
害獣避けに効果的な電気柵について
電気柵は、害獣対策として非常に効果的な手段の一つです。
しかし、その効果を最大限に引き出すためには、適切な電気柵の選び方や設置方法が重要です。
電気柵を選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
電気柵の選び方
- 出力電圧: 必ず電気柵専用のものを使いましょう。電圧が低いものは効果は薄く、高すぎる場合は事故を起こす可能性があります。
- 導線: ステンレス線や亜鉛メッキ線など、耐久性と導電性に優れた素材を選びましょう。
- アース棒: 地中に打ち込むアース棒は、電気柵の性能を左右する重要な要素です。必ず、説明書を読み設置しましょう。
- ソーラーパネル: ソーラーパネル付きの電気柵は、電源確保が容易です。
- コントローラー: タイマー機能や自動調整機能が付いているコントローラーを選ぶと、より効果的に利用できます。
効果的な設置方法
- 高さ: 害獣の種類によって最適な高さが異なります。
シカの場合、1.5mほどの高さの支柱を5〜10m間隔で立て、ワイヤーを4段に張り、柵の下をくぐられないように設置します。
イノシシの場合、地面を掘って侵入しようとするので、地面と下段の間が20cm以上にならないように設置し、4m以内の間隔で支柱を立てます。
アライグマ、アナグマ、タヌキ、ハクビシンなどの中型害獣の場合、支柱は4m以内に1本立て、10cm感覚で4段ワイヤーを張ります。
サルの場合は、特殊な設置方法になりますので、ご相談ください。
- 張力: 導線をたるませずに、適度な張力をかけることで、感度を向上させます。
- 設置場所: 害獣の侵入経路となる場所や、作物の周囲に設置しましょう。
- アースの確保: アース棒を十分な数と深さで打ち込むことで、電気の導通を良くし、感度を向上させます。
- 定期的な点検: 導線の破損や、草木の侵入など、定期的な点検を行い、必要に応じて修理や調整を行いましょう。
電気柵の注意点
- 安全対策: 電気柵は、人や家畜に危険が伴うため、設置場所や使用方法には十分注意しましょう。
- 周辺環境: 周囲の環境や地形に合わせて、設置方法を工夫する必要があります。
- 慣れ: 害獣の中には、電気柵に慣れてしまう個体もいるため、他の対策と組み合わせることも有効です。
物理的に遮断する防護柵について
一般的な防護柵の種類と特徴
- 金網柵:
- 強度が高く、耐久性があるため、イノシシやシカなどの大型動物にも効果的です。
- 目合いを細かくすることで、小動物の侵入も防ぐことができます。
- 設置費用が高く、設置に手間がかかる場合があります。(※補助金が出る場合があります)
- ネット柵:
- 軽量で設置が容易ですが、強度が弱いため、小動物対策に適しています。
- 目合いを細かくすることで、鳥類の侵入も防ぐことができます。
- 雄のシカのツノが引っかかるという事故がたびたび報告されています。
- 複合柵:
- 金網と電気柵、またはネットと電気柵を組み合わせたものです。
- それぞれのメリットを活かし、より効果的な防護が可能です。
防護柵を選ぶ際のポイント
- 害獣の種類:
- イノシシなど掘り返す習性のある動物には、地中に深く埋め込むタイプの柵が効果的です。
- 鳥類には、上部にネットを張るなど、侵入されないように工夫が必要です。
- 田畑の規模:
- 広い範囲に設置する場合は、コストや設置のしやすさを考慮する必要があります。
- 周囲の環境:
- 斜面や水辺など、設置場所の地形や周囲の環境に合わせて、適切な柵を選びましょう。
- 予算:
- 各種類の柵の費用は異なります。予算に合わせて、最適な柵を選びましょう。
害獣避けに効果的な草刈りや耕作放棄地の手入れについて
害獣は草木が生い茂った場所を隠れ家や食料源として利用するため、草刈りや耕作放棄地の適切な手入れは害獣対策に非常に効果的です。
なぜ草刈りが重要なのか?
- 隠れ家の除去: 害獣は、草むらを隠れ家として利用します。草を刈ることで、隠れ場所をなくし、活動範囲を制限できます。
- 食料源の削減: 害獣は、ミミズなどの小動物や果実などを食料としています。草刈りを行うことで、食料源を減らすことが出来ます。
- 視界の確保: 草が茂っていると、害獣の侵入に気づきにくくなります。草刈りを行うことで、周囲の状況を把握しやすくなり、早期発見に繋がります。
効果的な草刈りのポイント
- 定期的な実施: 再び草むらを作らないように、定期的に草刈りを行うことが大切です。
- 刈り残し: 草刈り機の種類や刃の状態によって、刈り残しが出やすい場所があります。丁寧に確認し、刈り残しのないよう注意しましょう。
- 周辺の手入れ: 農地だけでなく、周辺の空き地や山との境も合わせて草刈りを行うことが、より効果的です。
耕作放棄地の対策
耕作放棄地は、害獣の格好の棲み家となります。住宅地に害獣が出没している大きな原因1つです。
- 草刈り: 耕作放棄地も定期的に草刈りを行い、開けた状態を保ちましょう。
- 作物の栽培: 耕作放棄地に作物を栽培したり、貸し農園をすることで、害獣の侵入を防ぎ、土地の有効活用にも繋がります。
- 防獣ネット、柵の設置: 耕作放棄地の周囲に防獣ネットや柵を設置することで、害獣の侵入を防ぐことができます。
注意点
- 安全対策: 草刈り作業中は、長袖・長ズボンを着用し、手袋や保護メガネなどを着用しましょう。
- マダニ対策: 草むらにはマダニが生息している場合があります。虫除けスプレーを使用するなど、マダニ対策も忘れずに行いましょう。
- 法規制: 草刈り作業を行う際には、地域の条例や規則を確認しましょう。
管理捕獲をすることで適正な頭数を維持する
農作物を害獣から守ることは、農家にとって大きな課題です。
完全な駆除は難しい場合もありますが、様々な対策を組み合わせることで被害を最小限に抑えることができます。
駆除ではなく、捕獲が大切
駆除というのは、“追払い”のことであり、その場からいなくなっただけのことで再び侵入を許したり、他の場所に行って被害をもたらすことがあります。
農作物被害対策においては、管理捕獲が最も重要です。
※管理捕獲とは、行政が定めた適正な頭数のことです。
有効な捕獲手段
イノシシやシカの捕獲には、主なものとして以下のものが挙げられます。
- 箱罠:
- 餌を入れてイノシシを誘い込み、中に入ると扉が閉まる仕組みの罠です。
- メリット: 複数頭捕獲できる可能性がある、比較的安全に捕獲できる。
- デメリット: 初期費用がかかる、設置場所を選ぶ、イノシシが警戒する可能性がある。
- くくり罠:
- イノシシの足などをくくりつけて捕獲する罠です。
- メリット: 小型で設置場所を選ばない、比較的安価。
- デメリット: 誤って犬や猫などがかかる可能性がある、くくり罠にかかったイノシシは非常に危険である。
- 猟犬、猟銃:
- 訓練された猟犬によりイノシシを発見し、発砲して捕獲する。
- メリット: 捕獲効率が非常に高い、親を捕獲することができる。
- デメリット: 有資格者の減少、猟犬の怪我。※一般的に言われてる誤射は、事故件数としては罠よりかなり低いです。
捕獲のポイント
- 餌: イノシシの好む餌(米ぬかなど)を定期的に与え、罠への警戒心を解く。
- 設置場所: イノシシの足跡や糞などから、よく通る場所を選んで設置する。
- 時期: イノシシの活動が活発な時期(秋から冬にかけて)が効果的。
- 天候: 雨の日や風の強い日は、イノシシの活動が鈍るため避ける。
- 周囲の環境: くくり罠は見えないように、周囲の環境に馴染ませる。
その他
- 狩猟免許: 罠猟を行うためには、狩猟免許と狩猟登録、場所や時期によって有害鳥獣捕獲許可証が必要です。
- 地域の条例: 罠の設置場所や種類、時期について、地域の条例を確認する必要があります。
- 専門家のアドバイス: 経験豊富な猟友会の方や獣害対策の専門家などに相談することをおすすめします。
まとめ
イノシシやシカの捕獲は様々な要因が絡み合い、簡単ではありません。
特にイノシシは他の害獣よりも警戒心が強く、捕獲には困難を極めます。
効果的な捕獲を行うためには上記の点を踏まえ、状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。
イノシシの捕獲に多くの実績がある有害鳥獣総合対策センターにお任せください。
より詳細な情報を知りたい場合は、以下の情報を教えてください。
- お住まいの地域: 地域によって、イノシシの生態や対策が異なります。
- 被害状況: どの程度の被害が出ていますか?
- 設置可能な場所: 罠を設置できる場所の広さや地形は?
これらの情報に基づいて、より具体的なアドバイスをさせていただきます。